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女神酒泡沫4



 ドロシーやカトルと同じ歳のはずだったが、タガーナという少女はずいぶん小さく感じられた。それは彼女を抱くトマヤの腕が大きいせい−だけではないは
ずだった。自らの力で呼吸できているのかもわからないほどの儚げな肢体。それがタガーナ・イントレイスだった。
「……トマヤ様」
「ああドロシー、ここにいたのだね。よかった、どこを探してもあなたはいないから」
 心配したよ、とトマヤは心の底から安堵した、偽りのない笑みを浮かべた。
「タガーナがあなたに早く承諾を得たいと言うのだよ。そんな必要はないと私は言ったのだがね」
 その笑顔に、ドロシーは警戒する。刺激してはいけないように静かに問う。
「………なんの、承諾でしたかしら」
「からかっているのだね、ドロシー。もちろん、君がタガーナの入れ物となることだよ。さあタガーナ、ドロシーだよ」
 トマヤのその姿は、赤ん坊をあやす母親のようだった。だがタガーナは生まれ立ての赤ん坊のようには、トマヤの腕の中で動くことはない。ほんの少しも動かない。瞳は何も見ない。唇は何も語らない。
 限りなく人間に似せられて作られた、人形のように。
「……ああ、そうだよ本物のドロシーだよ。約束した、その通りだろう」
 例えば。
『本当ね、お兄様は嘘をつかないわね。ねえ、ドロシーはわたしを覚えているかしら』
 そんなことを言ったかもしれないような間があって、トマヤは「ああ」と頷く。
「もちろん覚えている。そうだろう、ドロシー」
 だが話題をふられても、ドロシーには何のことかわかるわけがなかった。タガーナは何も喋らない。ただそこにいるだけなのだから。
『こんにちはドロシー。タガーナよ、とても久しぶりだわ』
 トマヤにしか聞こえない声。
 ドロシーには、聞こえない声。
「どうしたのかねドロシー。さあタガーナに挨拶を」
 カタリ、と音がした。振り向いたドロシーは、カトルが手元にあったティーカップに触れた音だと気付く。ドロシーはゆっくりと息を吐き出した。
「こういう人物の相手は、あなたのほうがお得意そうですわね」
 嫌味ではなく、素直に適性を延べた。カトルはトマヤを哀れんでいた。今にも泣きそうな顔をして、全身で他人の傷を思いやる。そういうカトルならばきっと、どこまでも優しい慰めの言葉をかけることができるのだろうけれど……。ドロシーには、こままの状況をカトルに託する気はなかった。
 トマヤはタガーナを、ソファーに横にさせる。
「トマヤ様、ここはおそらくあなたの一番お嫌いな場所でしてよ。平和論者や参戦者が入り乱れていますわ。私もその一人なのだと、お調べになりましたか? 私は調べさせていただきましたわ。あなたが、愚かな勘違いをなさっているのだということを」
「愚か? あなたはそう言うのだね」
 トマヤはあえて、ドロシーの過去を無視していた。トマヤにとって、今ここでは関係がないのだ、そんなものは。
「ええ、愚かな夢物語です。すぐに捨てておしまいになられることをお勧めいたしますわ」
 ドロシーは、握り締めて少しばかりしわになった一枚の紙切れをトマヤに突き付けた。
 何がどんなふうに愚かなのか、ここには書いてある。行方不明になったという少女と、消えてしまった女神酒の真相が。
「私がタガーナにはなれないように、タガーナも私になることなどできないのよ。たとえ、万が一あなたの望みが……あなたがなさろうとしていることが実現できるのだとしても、私は私の躰を他人に譲る気などないわ」
 トマヤの胸に押しつけた紙切れ。トマヤはそれを受け取らず、ドロシーの手からも離れ床へと落ちていく。カトルがそれを拾い上げた。
「あなたは私のタガーナにはなりたくないと言うのかね。この子を、このかわいい子をこのまま見殺しにすると? 馬鹿な、そんなことがあっていいわけがない。時の狂ってしまったこの子を……っ」
「狂っているのはあなたですわ、トマヤ様。それを認めてここから出てお行きなさい」
 ドロシーは開きっぱなしの扉を示した。
「どうぞ、この茶番劇から退場なさって」
 だが、トマヤはその場を動かない。いや、動けなかったのかもしれない。
 毅然とトマヤを促すドロシーは、トマヤにとって自分の先を示す者にすら見えた。それは幼い頃タガーナと見た、金の髪の美しい神の御使いそのままだ。成長してもなお、そのままに……。
「なぜあなただけが変わらない……? 幼い頃からずっと、あなただけが……」
「自分だけが不幸だと思って、その不幸に酔っているような人間は嫌いですわ」
 容赦のない言い方だった。トマヤはその仕返しを企むように、ドロシーを見据えた。微かに震える指を握り締める。そして、確信する。
「やはりそうだ。あなたが一番ふさわしい。その美しい姿も強い心も、すべてタガーナの望んだものだ」
「それはタガーナのものではなく、あなたの激しい思い込みなのだと気付きなさい」
「そんなことはない!」
 強い声を、ドロシーは平然と受け流した。
「あなたの頼りにしている女神酒はただの葡萄酒よ。なぜわからないの。なぜ、わかろうとしないの」
「女神酒は、奇跡の酒だ……」
 トマヤは愛しげにタガーナの髪を撫でる。まるですぐここに奇跡がある、そう言いたげに。
 カトルは用紙に、再び視線を落としていた。
「公がアエカ・イントレイスのことを言っているのなら、それはあなたが考えている奇跡とは違いますよ」
 たった一枚の紙。そこに打ち出された文字だけが記す真実。ここにしかない、トマヤが、もしかしたらあえて、目を通さなかったもの。
「アエカ・イントレイスは、躰が弱くはあったようですが、死を迎えなければならないほどのものではなかったのです。婚約も結婚も順調でした。ただ、奇跡と呼べるものがあるとすれば、それは女神酒が白濁を起こしたことでしょう。これは結婚式前夜のことです。式の当日に行なわれる競売のために蔵から女神酒を出すと濁っていたんです。それを不吉に思った当時のイントレイスの主人は式を延期することに決めます。そして翌日、本来ならば華やかな式の行なわれているはずだった教会が、小さな地震によって引き起こされた山崩れに巻き込まれたんです。被害にあったのは前日から式場の用意のために泊まり込んでいたメードたちで、何人かが重軽傷を負いました。そのうちの一人は、土砂に流され行方不明になっています。そのメードとアエカ・イントレイスが似ていたというのは偶然にすぎません。この資料も、たまたま見つけ出しにくいところに入り込んでしまっていただけのようですし……」
 トマヤはじっと、身動きせずに聞いていた。カトルはそれを目に留めたが、先を続けた。
「売り物にならなくなった女神酒は破棄されました。残ったのはビンだけです。この資料を差し引いた限りの情報では、アエカ・イントレイスが死亡したので女神酒が濁った、と思い違いをされても仕方がないと思いますが……」
 実際はそうではなかったのだ。酒が濁ったので、アエカが死亡したなどという偽りの情報が生まれてしまった。順序が入れ違って奇跡はさらに大きな奇跡となり、トマヤの心を乱した。ただ最愛なる妹のために、自らがタガーナの心となって……。
 だが、彼の望んだ奇跡は起こらない。たとえドロシーを得たとしても、たとえ、カトルやリリーナをこの世から消し去ったとしても、起こりはしないのだ。
 彼の世界は、何も変わらない。


『この世界は嫌い』


 父と母がいなくなった。残されたものは、イントレイスという名だけだった。誰もが自分を持ち上げるための言葉しか発しない、偽りしかない世界。妹もまた、そこから逃げ出すように、自分の中にこもってしまった。
 この世界は嫌い。
 すべてが泡沫。
 真実がない。
 みんな消えてしまう。
 だからせめて。
 タガーナ……。
 せめておまえだけでも、見てくれたら。また昔のように微笑んでくれたら。
 それだけでいい。
 また、天使の話をしよう。
 彼女の、話をしよう。
 話をしよう。
 ……タガーナ。


「さあ、もうお帰りなさいトマヤ様」
「………ドロシー……」
 トマヤは何かに急かされるように、タガーナを再び抱き上げた。微かに震えているのが見て取れたけれど、タガーナを、その手の中から落としてしまうことだけはない。
 奇跡は起こらない。
 起こるはずのないものだった。
 では、奇跡が起こるようにと今まで重ねてきた祈りを、せめて今からは、女神酒が濁らないようにとの祈りに変えよう。

 トマヤの背を見送るドロシーもカトルも、彼にかける言葉を持たなかった。


      ◇


 パソコンの電源を落とし、あらためて食事にでもと誘うカトルを、ドロシーは少しの考える間もなくさっぱりきっぱりと断った。
「私、帰りますわ」
「こんな時間にかい?」
「言っておくけれど、あなたに関しては先ほどからずっと不機嫌なのよ、私は」
 くるりと背を向けて部屋を出ようとする。刹那、ものすごい音と共に扉が吹っ飛んだ。入ってきたのは弾丸の勢いの五飛だった。
「おい、トマヤが来ているそうだな」
「駄目じゃないか五飛、扉を壊しちゃ」
「俺はトマヤはどこかと聞いているっ」
「もう、帰られたよ」
「なにいっっっ!」
「……うるさいですわね」
 喚く五飛にドロシーは眉をひそめる。カトルは五飛をなだめるように瞳を細めた。
「ラオの心配はわかるけど、彼をその罪に問えないことは君も知っているだろう?」
 直接的ではないにしろ、彼がプリベンターの一人を重体に追い込んだのは確かだ。が、プリベンターはおおやけの組織ではないのである。本来は存在しないはずの組織、存在しないはずの人間。ということになり、それを傷付けたからといって罪に問うことはできないのだった。
 もちろんカトルだって、それでは気持ちが治まらないという五飛の気持ちもよくわかる。トマヤはトマヤなりに大変だったんだよ、などと言って事をおさめようとは思ってもいない。罪は、消えはしないのだ。ただ、たとえ罪を問うことができたとしても、今の彼にそれを受け入れるだけの余裕はないだろう。
「トマヤが帰ってから、どれくらい経つ」
「まだそれほど経ってはいないけど……」
「駐車場にいるかもしれん」
 そうだそうに違いない、と一人で頷いて五飛は廊下を駆けていく。
「五飛、でもこっちが手を出したら罪になっちゃうんだよ、わかってるよね!?」
 と言うことなので、やはりどうしても五飛は止めなければならなかったのだが。止められるわけがないのである。反対側からはサリィが走ってきた。
「カトル、五飛は?」
「……えーと」
「すごい勢いでトマヤ様を追っていきましたわよ」
「やあね、あの子何するかわからないんだから捕まえておいてくれないと……」
 ブツブツいいながら追いかけていく。サリィも五飛も、それなりにそれぞれに大変そうだ。
「騒がしいこと」
 呟くドロシーにカトルも同意する頃には、二人とも、いくぶん和らいだ表情をしていた。
「それでドロシー、君は本当に帰ってしまうの?」
「もちろんですわ」
「……どうして僕は、いつも君を不機嫌にさせてしまうんだろうね」
 昨夜から換算して、これでかれこれ何度目だろうか。困った顔のまま笑おうとするカトルの言い分を、ドロシーは無視する。
「ねえカトル、あなたの目には私が映っていて?」
 壊れて倒れたままの扉をまたぐ。
「いいえ、映っていないわ。あなたにはすべてが同じにしか映らないの。この怪我もそう」
 傍に来て、と言われるままにカトルが近付くと、ドロシーはカトルの手を取り自分の胸に押しつけた。驚くカトルに眼差しを細める。
「あなたは、自分がもっと早くに私たちを助け出すことができたらなかったはずの怪我だと、そう思っているの。不可抗力でしかなかったのに。あなたは自分を責めて、だから気遣っているだけ。でも私、そんなものはいらないのよ。欲しいものは、あなたの気遣いではないのよ」
 ドロシーはカトルの手を離した。
「私を、ドロシー・カタロニアを見なさい、カトル」

 覗き込んできた眼差しに、カトルは目を見張った。
 ドロシーの金の髪。
 金の視界。
 覚えのあるシチュエーションにまた、いつかのドロシーの言葉が蘇る。

『私に…………に来て』

 それをいったいどういう意味で彼女は自分に告げたのか、忘れたことなんてなかった。だからこそ。
「……僕は、君だから心配だったんだ。そう言っても、君は信じてくれないのかい?」
「ええ、信じないわ。そういったでしょう?」
 くすりと笑うと、ドロシーは踵を返し、後はもう振り向くこともせずに廊下を歩き出す。
 カトルは、ドロシーを見送る。

 揺れるのは彼女の金色。

『私に、会いに来て』

 彼女は、そう言った。


      ◇◇◇


 そろそろ梅雨も明けるのか、太陽が地上を照らす時間が長くなったような気がする。正式に梅雨明け宣言が出されれば、蒸し暑い夏がやってくる。天候的には少しばかり余裕の出てきたJAP地区だったが、ドロシーは相変わらず、母に難儀をしていた。
「ですから、この話はなかったことに、とあちらから仰ってきたのですからそれでいいでしょう!?」
「何がいいのドロシー、そこにお座りなさい」
「もう座ってますわよ」
「まあ、そんなことばかり言って。あなた、公爵にもそんなふうに失礼なことを言ったのではないでしょうね」
「あちらのほうが、もっと失礼だったわよ」
「ごらんなさい、やはり失礼をしたのでしょう」
 よよよ……とハンカチを握り締める。さすがにうんざりとした表情を隠せなくなってきているドロシーだったが、トマヤの一件も済んだところで近頃暇で、仕方ないので母の相手でもしているしかない。
 やれやれと頬杖を着き、青色が広く面積を占めるようになった空を窓越しに見上げる。
 そこに執事がやってきて、来客を告げた。
「お嬢様にお客様でございます」
「私に?」
 近頃このパターンでひどい目に遭ったところだったが、いい加減、母の相手よりはましかと席を立つ。
「それで、どなたがいらしてるの?」
 執事の返答に、なぜか過剰な反応を示したのはドロシーではなく、母の方だった。



 JAP地区と同じく、こちらの窓も穏やかな青空を映していた。
「良い天気ね……」
 呟いたリリーナは、手にしていた花瓶を窓際に置いた。その手の甲からは、小さな傷は奇麗に消えてしまっている。
 あの日、カトルとドロシーに何があって、何がどうなったのかという話は詳しく聞いていない。しかし、もしかしたらイントレイス公からの融資の話しはなかったことになるかもしれないというカトルの心配は杞憂に終わり、それどころかイントレイス公はラオへの謝罪の意味も込めてさらなる寄付金を申し出てきた。何もかもが順調に、M・A計画の会議もひとまず落ち着いていた。B段階の話し合いが始まるのは、実際に火星に出向いた調査隊が必要なデータを収集した後になる。それまでしばらくは、今までよりも時間のあるリリーナだった。
「……ドーリアン外務次官、ですか?」
 声に、リリーナは振り返る。
「あなたは目を覚ますと、いつも同じ質問をするのね」
「いつもあなたが、いるからですよ」
 ベットの中で、ラオは弱々しく笑んで見せた。白い病院の中には放った窓から暖かい風が入り込み、清潔なカーテンを揺らす。
「どうか、オレになど気を使わないでください」
「ラオ、それは私のせりふです。あのとき、私をかばってくれてありがとう」
「……仕事ですから」
 いいながら笑うラオに、リリーナはある人物を重ねた。……この人は彼になんて似ているのだろう。そして、なんて似ていないんだろう。仕事、あるいは任務だときっと彼もそう言う。けれどこんなふうに笑ったりすることはない。
 リリーナも、ラオにつられたように笑う。
 なぜだかおかしい。
 例えばこんなふうに彼を思い出しても、笑っていられる自分がいるのだから大丈夫だ。もう少しすれば五飛やサリィもラオの見舞いにやってくる。そういえば……。
 リリーナは再び空を見上げた。
 今朝早くホテルを経ったカトルを、何となく思い出したのだ……。



 ドロシーが扉を開くと、目の前に現れた大輪のカサブランカの強い香りがした。
「……なっ……」
 びっくりして息を止める……まずその、そんなことで驚いてしまった自分が気に入らない。次いで花の陰から現れた顔が穏やかに笑って、さらにそれが気に入らない。
「なんなんですの、あなたはっ」
「え、この花、嫌いだったかな」
 勢いのいいドロシーに、訪問者であるカトルは心の底から意外そうに首を傾げた。
「君が好きだと思ったんだけど」
「カサブランカとチューリップが? その愉快な組み合わせが?」
「愉快かな?」
 カトルはしげしげと、自分の持ってきた花束を眺めた。カサブランカと黄色のチューリップ。以前送ったものと同じである。
 そこに、偶然玄関先を通りかかったカタロニア家のメードが、にこやかにカトルに会釈した。
「まあ。まあまあっ。またお嬢様のお好きなお花ばかりですわね。本当に奇麗なこと」
 よけいなことを言わないでちょうだいっ。とドロシーが睨むと、メードは楽しげに笑いながらその場を失礼する。
「ほら、好きだったろう? あ、でも花を嫌いな女性ってあまりいないよね」
「わ、私はその花の季節感のなさを指摘したのよ」
「これは温室でね」
「……あなたが?」
「と言っても、庭師に言われるままに手入れをしているだけなんだけど」
「それはまた、お暇でよろしいこと」
 などと言いつつと改めて用件を尋ねる。
「それで、今日はなんのご用事かしら」
「用事……というか、ちょっと確認のために」
「確認?」
 ドロシーの声はうさんくさげに響いた。ここまでこうしてきていて、いまさら何の確認なのか。
「君が……」
「私が?」
「うん、君がやっぱり、きれいかなと思って」
「……はい?」
 また寝言かと訝しむドロシーに、カトルは笑顔を見せた。
「あの夜のパーティーで、君はとても奇麗で、それは公の横にいるからだと思ったんだ。でも君は君で、僕の前にいるときも変わらずに奇麗な人だから、今、すごく安心してる。だから改めて……」
 カトルは花をドロシーに手渡した。
「君に、会いに。とても、待たせてしまったけれど」
 ドロシーは花を受け取りはしたけれど、なぜかツンと横を向いた。
「あら、別に待ってなどいませんわよ」
 そう、待っていた、などと思われるのは心外だ。が。
「そうなの?」
 カトルは笑っているから、ドロシーもそれに倣う。
「でもそうね、そういう事にしておいてあげても、よろしくてよ」
 タイミングを見計らっていた執事に招かれて、二人して扉の中へ消えていく。
 玄関先には、カサブランカの香りだけが残された。 



 さてその後。
 イントレイス公爵と結婚、などというおいしい話を逃した娘のために、では次はウィナー家の御当主なんてどうかしら、といらぬ世話を焼くカタロニア婦人の姿があった……かどうかは、彼女の娘であるドロシーだけが、知っている。



おわり



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