日記……のような……


2006.3〜


3.29(水曜日) 雨


 長野まゆみ著 「雨更紗」を読みました。
 ……うん、わけわからん(爽やかに)
 わけはわからないんですが、なんとなく、読み終わって、一晩経っても、どこかに雨が降っていて、その中に玲だか哉だかが立っている、そんな様がぼやんと、頭の中やらこころの中やらから離れません。
 テレビジョンシティを読んだ時ほど強烈ではないのですが(こちらは一晩経っても二晩経っても、夢に見るくらいでしたが)、なんだかとにかくずっと、どこかで雨が降っているような気がするような気がします。
 おはなしとしてわけがわからないだけに、自分の中でうまく消化できなくてとどまり続ける……みたいな。気持ち悪くはないんですけど。なんだこれ?? という感じ。
 ええ、とりあえず、安と伯母(母親)の子供のチチオヤはもしかしなくて……? というところだけすごくものすごく気にかかるところです。

「その本、どんな話だった?」 
 と聞かれて、ストーリーを話すことはできますが、その物語の中にある風景とか色とか、ひとの足音とか家の雰囲気とか、手触りとか、そういうものは言葉では語れないから、本の中の、文字を、読んでみて。こころの中で読んだ音とか、字面とか、文字の形とか、そういうもので感じて確かめてみて。
 と言うしかないような、そんな文章がすごいなあ、と思います。


 さて。
 とゆーことでちょっくら旅に出てきます。4月1日エイプリルフール「4月1日」でも読んでやってください、翌日は望月クンのお誕生日ですそれがどうした祝サイト何周年? だかは不在です。あら。
 南の島でのんびり昼は青い空と、夜はステキお月様を眺めてきます。とまとめーよとカレンダーをめくったら今日が朔でした。月ないじゃん。


3.28(火曜日) さくらさくら


 なんとか日当たりの良い場所にある桜が、ぽろっと咲き始めてきました。
 うむー、旅行に行ってる間に見頃になりませんよーに、と意地悪く思ってみたりします。
 あんまり小さな木で気が付かなかったんですが、川沿いの、今まで何もなかったところに新しい桜並木が出来ていました。ほんとに、小さい木ですよ。桜、といって想像する木とはぜんぜん違う小ささで、これが今から何十年もかけて大きくなっていくのか、と思うとすごく、なんだか、くすぐったくって笑っちゃいそうな気分になります。
 桜の木の寿命はどれくらいなんでしょう。いま並木で見頃なのが、戦後植えられたもの、ですか? 60年とか70年とか。そしてぼちぼち寿命、という話も聞きます。基本的にはクローンなので(という話を聞きましたが)、開花も散りごろも寿命も同時にくるのでしょう。
 でも、新しい並木もあって、わたしの寿命が尽きる(予定)の頃にはその木が見頃になっていて。うわー、すごいなー。なんか、そういうのはすごく、すごいと思います。時間の流れとか。なんか、いろいろ。うまく書けませんが……。

 旅立つのに飛行機に乗って日本を上から見たら、桜前線見えないかな、とかこどものよーなことを考えます。うーん、見えないかなー。


3.27(月曜日) 神話


 土曜日にですけど。「THE MYTH」を見てきました。映画です。ジャッキーチェンです。
 すごい、最初は突っ込みどころ満載でおかしかったです。
(ネタバレ?)
 なんでもいいから、男ふたり、戦ってないでさっさと姫様助けろ、とか。なぜ考古学者がそんなに武芸達者なんですか、とか。なぜ突然雪山遭難なんですか、とか。
 でも舞台がきれいだったり、出てくる女の人がすごくキレイだったりで楽しかったです。
 兜をかぶっているジャッキーチェンさんが途中からタケダテツヤさんに見えていたのはちょこっと内緒の方向で……。
 やっぱり、アクションシーンがすごいです。そういえば久々にそういうアクションもの(?)を見たので、ますますすごく感じました。久々といえば、字幕の映画見たの久しぶりでした。うわ、ほんと久しぶりだっ。
 ナルニア〜も見たいのですが、どーかなー。次はコナンくん見る気満々です。とゆーか、岡田淮一さんの侍映画の予告見たい……。まず予告を見たい、です。あ、ネットで探せばあるのかな、どーなのかな??


3.26(日曜日) びっくりしたあ


 のほほんと金曜日記を書き終わって、さあUPーと思ったら、もうぜんぜんまったくさっぱりとんとネットの回線が繋がらず。あら? 今日はたまたま調子が悪い? パソコンの? ネットの? あのでも、メールとか送りたいんですけどどうでしょう、調子が治る気配はないでしょうか? 
 とかパソコンに語りかけても返事があるわけでもなく。……まあ、じゃあ、明日で。と就寝いたしました。
 そして翌日。やはりネットが繋がらず、あれ、まあ。急にどうしたんですか? なんだかわかんないけど、じゃあ、もうしばらく放置。
 そして本日。電話回線を調べようと、タンスを移動させて隙間からいろいろ線を引っ張り出したら、ADSLのモデムのコンセントが抜けてました。……あら。
 なぜタンスの裏でコンセントが抜けたかというと、アダプター(?)が壁の出っ張りに引っかかっていて、ぶら下がるようにコンセントがささっていたらしく、長い年月をかけて、引っかかっていたところが徐々に抜けていった、らしーです。(かなり推測)
 多分、前日まではかろうじて、かろうじて繋がっていたのでしょう。
「うお、ダメだ、ここまで耐えたが、おれはもーだめだ」
「何言ってるんだ! がんばれ! 俺たちと芳雪の明日のためにがんばれ!」
「がんばったよ。おれはがんばったよ。でももうだめなんだ! 地球の引力が悪いんだ!」
 すみません、わたしの処置の仕方が悪かったんです。
 抜けかけたところにホコリが入り込んで、そこから出火、なんてことにならなくてなによりよかったです。
 ちなみに、コンセントくんたちの会話、男女バージョンもありますよ(笑) ちょっと形状上、えろいっぽいです。テキトーに想像してください(笑)
 あ、男同士だと、ファイトいっぱーっつ! みたいな。BLじゃないですよ。って、どうでもいいですね。うん、どうどもいいです。
 なにはともあれ、無事回線回復。慌ててお客様センターとかにお問い合わせしなくてよかったよっかた。ああ、よかった。です。


3.24(金曜日) あったか地方


 来週末に旅に出ます。
 えーと、沖縄。石垣島、です。
 半そででいいのかな。上着はいるのかな。でも旅立つときに地元で半そでだと、あのコ大丈夫かしらって通報さそうなのでどうしようかな。お、泳げるのかな。水着はあるけど、ビーチサンダルないなあ。てか、売ってないなあ……。
 とか、さり気にいろいろ考えています。しかも旅って、用意した、さあ行くぞ。というわけにもいかず、当日の朝に使った化粧品やら一式をまたカバンに詰め直さねばならないとゆーてまひまがあって、しかも朝早いとなるとちょびっとうんざりしますが、まあ、あの、社員旅行なので、ぼちぼち会社中で浮かれ気分でおもしろいです。
 石垣島泊なので、今回はわたくし初沖縄なのにいけませんが、いつか必ず首里城を見に行きたいなあ、と思ってますです。


3.23(木曜日) 年か慣れか


 もう春だからー、と思いまして、会社の制服にあわせていた黒タイツ(今のところ40デニールくらい)をストッキングに戻しました。すっきり肌色。無駄毛のお手入れ忘れずに。
 ……嘘です。雨で乾かなかったり、なぜかあるはずのがなかったりで、いえ、きっと妹か母のタンスにまぎれているはずなんですが、朝の忙しい時間に探すヒマがなくて、まーいいかー、と肌色ストッキングにしてみました。
 ええーと。
 寒いっ。
 さーむーいー。すーかすーかします。男の人が初めてスカートはいたらこんな気分かしら、とか、寒さを紛らわせるためにどうでもいいことを一日考えてました。


3.22(水曜日) うれし恥ずかし。ぱーとつー


 別にいーですよー、と言われたので。18日にお会いしてきましたかわいらしいかたのお名前発表。
 上海しろさん(頂いているイラスト参照)、ですよー。
 そうかー、このお嬢さんがあのかわいらしい絵を描かれるのかー、やっぱり、絵の雰囲気とかって描かれる人に似てるよなあーと不躾にじっとり記憶に縫いとどめんばかりに見つめてしまったような記憶があって、そんなに見ないでくださいっ、とかわいらしく恥じらいを持って目線をそらされたりしたような記憶もあります。思い出すたびに自分のオヤジのような態度を平謝りしたい気分になったりします。です。ほんと、すみませんっ。
 えーとえーと。
 しろさん、お店を出た途端に逆方向に向かって歩き出されたりしたりしまして、あわあわされてましたが、そんなぷちほうこうおんち?なところも、やっべ、かわいい。とか。にへにへしてました。オヤジ目線じゃないですよ!? あくまでもっ、あくまでもおねーさん目線ですよ!?
 絵を描かれる上での苦労とか、字書きには想像もつかないようなお話を聞けたりして楽しかったです。
 まだまだ、初めてということで、お互いや自分の内を(どこまではっちゃけてよいものか)と探りつつの会話だったと思うのですが、またまたお会いする機会などあれば、徐々に、着々と、己の本性をいろいろすみずみさらけ出したりするようになるのかな、とか、思ったりもしました。
 ひととの出会いって、文字で新しいお話に出会うことの何倍も、おもしろいと思います。ただ、文字が、その出会いのきっかけになっているのも間違いなくて、世の中、おもしろいことだらけだなあ、と思ったりする毎日なのです。

 しろさんサイト再び。
 ということで、復活(?)というか、新生サイトさんは ↓ です。
                               
id(イド)


3.21(火曜日) 少女マンガなら薄幸の美少女、かも


 わーい、休日だー。と昼近くまで寝こけていた春分の日。
 寝すぎで頭が痛くなって目が覚めて「うぃー(おはよー)」と起きていくと、テレビを見ていた妹がかたまりました。
「……おねーちゃん、鏡見た?」
「まだ」
 なんでしょう、すごい寝癖とかなのかなと思って、差し出しされた鏡を覗き込みましたが、別に、いつも通りくらい酷いくらいで、そんなかたまられるほどいつもに増して激しい寝癖でもありません。なんだよ、なにがそんなにびっくりなんだよ。という顔をすると、
「口元見て、口元」
 言われて見てみてると。
「ぎゃああ!」
 すごい、吐血!?
 という勢いで、血にまみれていました。口元が。
 わあ、びっくりした。
 なんか……くちびるが切れてました。うわあ。
 原因を追究しようと思うには思いましたが、当の本人が寝こけていて意識がなかったため、真相の解明は難しいと思われるしだいであったりしたりいたします。
「うわ、びっくりしたねえ」
 とのんきに言ったら、
「そりゃこっちのセリフだよ!」
 と朝から怒られました。えーだって、怒られたって、そんなんどーしよーもないじゃーん?


3.20(月曜日) ジャスコデー


 昨日の強風突風が嘘のようにわりかし穏やかな日でした。明日もまたお休みか、と思うとわたしの心も穏やかです。

 なので穏やかに(関係ありませんが)花ゆめ話、など。
 NGライフ、でしたか、いきなり巻頭カラーで登場。この方のかかれるマンガは、なぜかいつもわたし的におもしろくなってくると連載が終わってしまったりするので、いまいち笑いに乗じ切れなかったりしたのですが、このお話は最初っからテンション高くておかしかったです。本誌では初ですが、事実上は二回目で、一回目もすごく楽しかったので、この勢いであと何話か続いたり連載になったりしないかなーとか思います。
 フルーツバスケットは……えーと。そういえばなんだか、アニメで見ていたときもなんだかあんな感じでアキトさんと和解(?)してたかなー? とか、思ったり思わなかったり。このまま終了、なんでしょうか??
 スキップビートはキョーコちゃんモテ期ですねー。すごい、同窓会のように同じホテルだかに人が集っていますが、そのうち敦賀サンも到着しておもしろいことになったりするんでしょーか。幼馴染のどつき合いがなんだかほっとしたりします。ドラマ、ダークムーンはすでに放送されているんでしょうか? まだでしょうか、その世間の反応とかが知りたいこのごろです。
 悩殺ジャンキーはえええええと。ツツミサンの愛が怖い……っす。
 フルハウスキスもモテ期突入。麦ちゃんかわいい。あのぐりぐり目だまとかぽてぽてほっぺとか、むしろわたしが触りたい勢いでやわらかそうです。さりげに、一番気心知れてるっぽい会話もよくしてるっぽい 羽倉サンが麦ちゃんに接触少ないぽくてちょっと哀れ、かも。こーゆーゲーム系(?)の恋愛は、最終的には誰とひっつくのがセオリーなんでしょうか? (金色のコルダとか。アンジェリークの漫画版ラストはどうだったのかな、とか)
 あとはええと、ゴールデンデイズ。なんとなくほっとするエピソードが多いですよね。2巻読みたい2巻読みたい。発売まであと一ヶ月っ。ふと、思ったんですが。この漫画にたいする突っ込みではないんですが。ぶっちゃけて。もしもわたしが50年前なり100年前なりの日本にタイムスリップしたとして。日本語は。きちんと通じるものなのでしょうか? なんとなく、相手の言っていることはわかるような気がしますが、わたしの言葉は通じない、ような気がします。なんとなく。思っただけですが。
 学園アリス。やったねさすが蛍ちゃん美少女キャラっ。蜜柑ちゃんの能力がココで発揮されるのかどーかた見所……?
 モリエサトシさん読みきり。最近セクシーな感じですね。シスターとか黒衣とか、なんだかアイテムというか独特のセンスの言葉にどきどきします。
 アラクレ。連載開始。よしいけ生徒会長。いろいろ抑圧されすぎてやっちゃいますかの典型でいっちゃいますか!? うむ、どうなんでしょう。とりあえず、言葉で伝えてそれかららぶらぶするのがいいと思います。でも態度で出られるとどきどきします。続きを思うとわくわくします。さらりと、ごまかしそうな気はしないこともないんですが。

 本屋さん行ったら、すごい、新刊いろいろ出てました。ごくせんとか蟲師とか20世紀少年とか読みたいです。金田一少年の事件簿上下巻が気になります。アラクレ2巻とか花の名前2巻とかいろいろ気になりましたが購入したのはキュート×ガイ(カタカナ表記変ですね……)新刊のみでした。後はNaNa15巻。
 以上今日も元気に漫画ライフ☆でした。


3.18(土曜日) うれし恥ずかし


 ええええと、本日はずいぶん前からわくわくしてましたかわいいかたとのデートでした。
 河合衣香多さん、ではありません。可愛い方、なのです。
 まさにまったく初デートです。初デートなんて響きも久方ぶりのことで、前日はなかなか寝付けなかったり、今朝は早く目が覚めたりと、キモチだけはいくつになってもかわらない初々しさっぷりでした。
 えーと、お名前発表していいんでしょうかどうなんでしょうか。隠す必要もないんですが、当サイト内にお名前ある方なんですが。とにかくかわいらしい方でした。
 せっかくお会いできたんだから、今後も近所ならば会社帰りに一杯どーですか、とか強引に誘いたい勢いです。が、そういうわけには行かない程度にふたりを隔てる距離があるので、ここは涙を飲んで、次にまたお会いできる日を夢に見つつ望むのです。
 
 とりあえず、サイトでお知り合いになった方とお会いしてみてわかったことは……。わたくしごとは日記でダダ漏れ……なんだ、な、と(笑)
 そしてわたしが、忘れているわけではないですが忘れているつもりになっていることがあるんですが。どんなにわたしが爽やかに見える笑顔をふりまいていようともっ。ごめんなさい、わたしえろ話書きなんですう、とかちょっと思って実はどきどきしてました。
 そんなうれし恥ずかしな楽しい一日でした。です。


3.17(金曜日) 局地的ぶーむ


 妹の愛読書。うしおととら(マンガ)。
 長年、妹の本棚にあるなあ、とは思っていたのですが、なかなかわたしが読む機会に恵まれなかった一品です。
 妹が再読していたので、わたしもとうとう読むことにしました。人が読んでいると読みたくなりませんか?
 おもしろかったです。がんばれ中学生。
 でもって、なんだかアニメ化(?)されていたらしーので、レンタル屋サンで「ないかなあ」と探しました。
 ありませんでした。
 わたしが「今、こんなにスペシャルまいぶーむなのに、そうか、ないのか」とがっかりすると、妹に冷静に「まあ、日本中でおねーちゃんだけに来てるブームだしね」とか言われました。
 そうかなあ、あと三人くらいは、今、ブーム中の人がいるかもしれないと思うんだけどなあ。どうですか、そこのあなた、違いますか??


3.15(水曜日) あれれ?


 昨日の「秘蜜ごと」小話に誤字がありまして、さっそくご指摘いただきました。ありがとうございます。そっこー直しました。
 誤 「じゃー、僕がセンパイの初めてのオコトですね」
 正 「じゃー、僕がセンパイの初めてのオトコですね」
 オコト→オトコ
 ……なぜ、こんな間違いを……。
 ちゃんと漢字にヘンカンしろってことですね。そーゆーことですね。えええと、きっと。


3.14(火曜日) 先月花珠保と一志のばれんたいんでーを書いているので、今回はほわいとでーをお送りいたします。


「はい、じゃあよろしく」
 花珠保に大きな紙袋を渡されて、一志はものすごくイヤそうに、
「……いってきマス」
 花珠保に見送られて玄関を出た。……と、思ったらすぐに戻ってきて、
「寒いっちゅーのっ。ねーちゃん、マフラー取ってきて、マフラー」
「そんなに寒い?」
「すっげ、雪降ってきそう」
 まだパジャマ姿の花珠保は、ふーん、と自分は寒くないので人ごとのように呟く。一志に、マフラー! とじたばた足踏みされて、一志の部屋からマフラーを取ってくる。少し、時間がかかった。
「遅いっ」
「だって、マフラー、どこにあるのかわかんなかったんだもん」
「いつもんとこじゃん」
「クローゼットの真ん中のとこでしょ」
「そー」
「そこになかったから探したの」
「なかった?」
「なかった。なんか、なぜか、くつした入ってる引き出しにぎゅうぎゅうになって入ってた」
 一志は、あれ? と小首をかしげて、
「なんでそんなとこ入ってんだよ」
「……知らないし」
 台所から、母親に、
『一志、早く行かないと、朝練に遅れるわよ』
 急かされて、一志は花珠保にちょこんと頭を下げた。マフラーを、
「巻いて巻いて」
 片手には紙袋を、片手には、陸上部の用具と授業の用意を詰め込んだスポーツバッグを持っている。
 花珠保はマフラーを、ぐるぐると一志の首に巻いて、襟首で結んだ。
「さーんきゅー」
 口元にかかるマフラーのせいで声がくぐもる。はいはい、いってらっしゃい、と手を振る花珠保を、一志は玄関の、一段下がった場所から見上げる。じっと見上げる。
 なあに? という顔を花珠保がすると、
「……別に」
 なんでもない、と一志は玄関を出て行った。今度はしばらく待っても戻ってこない。
 台所に入ると、花珠保の朝食の支度だけ、してあった。父親はもう出勤している。母親も食事を済ませ、出かける準備をしていた。
「一志、行ったの?」
「うん、外、すごく寒いみたい。お母さんもあったかくしてったほうがいいよ」
「もう三月なのに、ひどい寒のもどりねえ。花珠保の卒業式の日は暑いくらい暖かかったのに」
 そうだねえ、と返事をしながら、花珠保はいただきますをして食事を始める。すぐに、母親も仕事に出かけていく。
 ひとりきりになった家の中で、花珠保は、自分を見上げた一志を思い出した。
 あれは……。
 花珠保だけ家でぬくぬくしているのをうらやましがっていたのか。それとも、もう一緒に朝練に出かけることがないことにまだ慣れていないのか。それとも。持たされた紙袋に対してもっとなにか文句が言いたかった顔、なのか。それとも……。
 ……なんなんだろう、な、と思いながら。
 飲み慣れた味噌汁を飲み込んだ。


 玄関で、花珠保を見上げてた理由が、本当に伝わってなかったんだろうか、と思って、一志は思い出すたびに、
「ちぇー」
 と隠す気もなく呟いていた。
 朝、花珠保に持たされた紙袋は、バレンタインデーのお返し、だった。バレンタインデーに花珠保にチョコレートをくれた女の子たち、へのお返しだった。
『ねーちゃん、もうそつぎょーしたんだから、ほかっときゃいーじゃん』
『そういうわけにもいかないでしょ。時間あったからクッキー、焼いただけだし。これ、名簿ね。一年と二年の子に、ちゃんとお返ししといてね』
『……だから、なんでおれが』
『だから、わたし、卒業しちゃったから』
『おれ、自分のお返しとかもないのに。いーじゃん、オカエシなんてさあ』
『一志がいいじゃんって思うのは一志の勝手だけど、わたしは思えないからお願いしてるの』
『お願いぃ? 強制じゃん』
『違うもん。それが一志のホワイトデーでいいよ?』
『おれの?』
『どうせ、おねーちゃんにお返しとか、用意してないでしょ』
『……してない』
『だから、ひとつ、おねーちゃんのお願い聞いてよ』
『って、ねーちゃんだって、バレンタインデー、おれ、父さんとケーキ半分コだったじゃん。うわ、違うじゃん。広田いたし、三分の一ずつだったじゃん。それのお返しこれって、なんか、おれ、損してない?』
『してないしてない。一志のクッキーもあるよ? ちゃんとお使い済ませて帰ってきたら、あげる。あ、こっちの大きいのは部活の子たちで分けてね』
『…………うぇーい』
 ということで、休憩時間ごとに一志はクッキー配達人をしていた。途中で何度かやめようかと思った。黙っていればわからない。けど。
 わからないけど、わからないけど、もしもバレたらどうしよう、と思うとなかなか勇気を出してほったらかしにすることも出来ない。
「……おれ、絶対なんかねーちゃんに操られてる……」
 帰ったらいろいろ……いろいろお礼をしてもらわないと気がすまない気分になってきた。まず、ちゃんと「ありがとう」と誠心誠意言ってもらう。好きな夕食を作ってもらって、しかも大盛で。風呂は花珠保の後に入ると、なんだかわけのわからない色と匂いのする温泉のモトとか入れられるので、今日は先に入る。……じゃなくて、一緒に入る。父親と母親は遅いから、一緒に入る。食事の片付けと洗濯の後、とか言わせない。絶対言わせない。でももしも言い張ったらそのときはなんだか逆らえないから、そのときは……。


「センパーイ。天沢センパイ」
 人ごみで見つけた姿を大声で呼ぶと、花珠保はきょろきょろとかわいらしく辺りを見回して、それからやっと背後に博則を見つけた。
 博則は無事に見つけてもらったことになんだか安心をする。
「不審がって逃げられたらどーしよーかと思っちゃいました」
 花珠保はスーパーの袋を片手に、そんなことしないよ、と笑う。
「広田くんの声だってわかったから、逃げないよ?」
「そうですか? センパイ、買い物。夕食の支度?」
 失礼だとは思いつつも、なんとなく、買い物袋の中を覗き込む。相変わらず、博則の絶対に買ったりしないような食材を花珠保は買い込んでいるようだった。
「すげ、余裕って感じなんだけど、センパイ、受験はどーでした?」
「余裕じゃないけど、済んじゃったものは今さらどうしようもないし、あとは合格発表待つだけ、だし」
「そんなもん?」
「そんなもん、だよ。それより、広田くんはどうしたの? こんなところまで。あ、一志と遊ぶ約束とか?」
「じゃなくて、先輩に、ホワイトデーしようかと思って」
 忘れていたわけではないけれど、慌てて思い出したように、博則は背負っていたスポーツバッグとは別に、大事そうに持っていた小さな紙袋を花珠保に差し出した。
「チョコケーキ、どーもでした」
「え、それのお返し? わざわざいいのに。広田くん律儀だねえ」
 花珠保は紙袋を嬉しそうに受け取って、
「ありがとう。すごい、わたしホワイトデーに男の子からもらうの初めてだ」
「え、まじっすか?」
「うん」
「じゃー、僕がセンパイの初めてのオトコですね」
 博則がホワイトデーに女の子にクッキーを買ったりしたのも初めてで。
「でもって、センパイは僕の初めての女の人だったり……ぐえ」
 仲良く並んで歩きかけたところを、背後から蹴飛ばされて博則は派手にすっ転んだ。
 一志が、博則を踏みつけようとしながら、
「往来でいかがわしー会話すんな」
 遠慮なく、博則を踏みつける。
 博則は踏みつけられながら、
「天沢……たいむたいむ。僕、死んじゃうから」
「死ね」
 さらに踏みつけようとする一志を花珠保が止める。
「こーらー。怖い会話しないで。乱暴もしないで。もー、これだから男の子って」
 一志を取り押さえて、なだめて。花珠保は博則に手を貸す。
「広田くん、大丈夫? 背中、一志の足跡ついてる……」
 紺色の学生服についた白い足跡をはらって、ふくれっつらで立つ一志の頬をつねって引っ張る。
 おとなしく頬を引っ張られている一志を見て、博則は吹き出した。
「広田、笑いすぎっ」
「えー、だっておもしろいじゃん」
「おもしろくないっ」
 ふたりのやり取りを花珠保はきょとんと眺める。蹴飛ばしたり踏みつけたり、喧嘩しているのかと思えば、そうでもない、らしい。
「ねーちゃん、買い物済んでんの? あと帰るだけ?」
「うん」
「じゃー、帰る。はい、広田はばいばい」
 一志はばいばい、というよりも、追い払うように手を振る。博則も、用事が済んで、ひどい扱いも受けて、じゃあ、と振ろうとした手を、花珠保に掴まれた。
「広田くん、から揚げ好き?」
「……はあ?」
「鶏肉、安かったの。たくさん作るから、たくさん食べてく?」
「いい……んですか?」
「うん、食べてって、食べてって。クッキーのお返し」
 なんだそれ、と一志が抗議すると、花珠保は嬉しそうに得意そうに博則からもらった紙袋を一志に見せた。
「見て、祝、初ホワイトデー。いっつもお返しするほうだったから、すごい、新鮮。嬉しい。やった」
 花珠保はもらった紙袋を大事に持って、買い物袋を一志に押し付ける。
「え、ちょ、ねーちゃん。それは暗黙に、おれに催促してんの?」
「してないよ。一志、ちゃんとクッキー配ってくれたんでしょ? だったらそれで大満足」
「……ほんとにい?」
「ほんとほんと」
 歩き出す花珠保について歩く一志に、博則もついていく。
「でもセンパイ。お返しのお返しって、キリ、なくないすか?」
「そう? じゃあ、お返しはここで終了。ふたりともおなかすいてる?」
 それはもう、と返事をする一志と博則に、花珠保は笑顔を絶やさない。
「じゃあ、すぐに支度するから、それまでにふたりとも、宿題やっちゃってね」
 慣れたセリフに、一志は鶏肉を振り回して歩きながら、はいはい、と返事をする。
 博則は感心したように、
「宿題、だって。センパイってほんと、おねーちゃん、なんだなあ」
 なあ、と一志に同意を求めると、一志は、なに言ってんだ、と言いたげに。
「ほんともなにも、ねーちゃんじゃん」


 居間の机で、博則は言われたとおり宿題をはじめる。よその家で宿題をやるなんて、なんだかおかしなことになってるなあ、とは思ったけれど。一志もおとなしく宿題を広げるのがおもしろくて、そのまま続ける。
 花珠保は食事の支度を始める。一志が一度席を立ったことは、そんなに気にはしなかった。
 席を立った一志は、台所で、鶏肉のパックを開ける花珠保を見ていた。しばらく、手元を一志に見られていた花珠保は、
「どうしたの? わかんない問題、あった?」
「てゆーか」
「なに?」
「おれの今日の予定、すごい、めちゃくちゃなんだけど」
「予定?」
「クッキー配ったお礼に、うまいもん作ってもらって、一緒に風呂、入って」
「……お礼のお礼?」
「そー」
 花珠保はふと手を止める。塩とかコショウとかが欲しいんだ、ということはわかったけれど、一志は塩とコショウがどこにあるのかよく分からない。
「お風呂、は無理じゃないの? 一志、広田くんとご飯の後ゲームするとか言ってなかった? お母さんたち、帰ってくるよ」
「だからっ」
 ……だから。
「予定、めちゃくちゃだって言ってんじゃん」
 鶏肉の油で花珠保の手が汚れる。
 一志は、汚れていない自分の手で、花珠保の頬を撫でた。花珠保は、嫌がらずに、小さく笑う。
 一志は向こうの部屋の博則を気にしつつ。
 撫でた花珠保の頬に、くちびるを押し付けた。
「……あいつ、いなかったら、今、ここで、やれるのに」
「油、あぶないよ」
「……うん」
 居間から、
『天沢ー、辞書貸してー』
 博則の声に、おう、と応えて。一志は、もう一度花珠保の頬を撫でた。くちびるにくちびるを寄せて、触れて。
 それだけじゃ物足りなくて、二度、三度、舌を絡めて、離れた。
「……ねーちゃん。今日、とーさんとかーさん、寝静まったころ、起きてろよ。受験、終わったんだし、いーだろ。何回でも、泣くまでイかせるから、覚悟しとけ」
「……一志も、泣くまでする?」
「なんでおれが泣くんだよ」
 それもそうか、と花珠保は棚から塩の小瓶を取る。油で滑って落としそうになるのを、一志が受け止めた。
 受け止めた場所から、花珠保を見上げる。
 見上げて。
 見上げられて。
 キスを、したくて、キスをした。向こう側でする博則の気配に、ぞくぞくする。今すぐここでしてもいい気分に、なる。
 でも、できない、から。
『天沢ー、早くー、辞書ー』
 呼ばれて台所を出て行く一志を、花珠保が呼び止めた。
「一志」
「んー?」
 花珠保に呼び止められた一志は、特に、振り向かないまま、で。
「一志も、ちゃんと起きてて、よ」
「……おう」
 ふたりだけの、秘密の約束を、した。






 以上、です。
 本当はあまあま立野さんと植田くんりべんじしてみたかったんですが、なんか、ちょっと考えたらどーにも、やまもおちもいみもない、ソレだけシーンになりそーな気がしないこともなかったので今回は却下、しました。
 って、だから花珠保や一志の話にヤマやオチやイミがあったかどうかは定かではありませんが。てゆーか、ありませんが。

 花珠保はいっつも買い物か料理してますね。さりげに広田少年、レギュラーですね。長編を書いたら、案外重要人物になりそうな少年です。
 今回、季節柄で花珠保は中学を卒業して高校受験もしていますが、次にも書くことがあったら高校生になっている、ということはない気がします。サザエさんワールドです。
 ちなみに調べたら、わたしの県では本日高校入試日みたいでした。のんきにホワイトデーしている場合ではありません。
 そして調べてみてわかったんですが、試験日にAグループとかBグループとかって、他県にはない、んですね。そーなんですね。県によっていろいろなんですね。なるほどう。


3.13(月曜日) あれ?


 くちびるの腫れが引かず、ついでにまたなんだか痛くなってきたのでまたまたお医者さんへ行ったらば。
「え、ずっと赤いままだったの?」
 とセンセーにびっくりされました。
 ……なんだ、やっぱりヘンだったのか。
 センセー的にはとっくに完治しているハズだったらしいです。
 とゆーことで、違う薬をもらいました。が、……高い。
 この薬も効かないようだったらまた来てください、といわれました。そーするとまた薬代がかさむので、ちょっと治癒力にがんばってもらいたいところです。がんばれー、今までコケたって青あざつくったって、いつの間にかキレイにしてくれてたじゃないか。こんどもいっちょよろしく頼むよ。


3.12(日曜日) 雅楽


 神社、での結婚式に参加(?)してきました。
 神前つってもいろいろな神様の前があるもんだな、と思いました。
 三々九度(こんな字?)が終わって、式も終わりかと思ったら、突然、なんだか舞とか始まって、途中からはちょっとこっそり、(この舞はいつ終わるんだろう……)とか思いながら見てました。
 巫女さんかわいかったです。
 由緒ある神社です。某お城敷地内のため、某お城を背景に写真を撮ったり、観光客さんにも祝福してもらえたりする素敵な場所です。
 お正月にはおみくじを引いたりする社務所(?)の裏っちょとかがあんな作りになってるなんてこの町にさんじゅうねんくらい住んでいますが知りませんでした。
 花嫁さんはきれいでしたし、親族さんたちは楽しい人たちでしたし、ご飯はおいしかったし、よい一日でした。


3.11(土曜日) しょーとこんと


 妹が大量にDVDをレンタルしてきました。
 なんとなーく、一緒に見ていました。
 「パペットマペット」のDVDもありました。
 よそ事をしながら、見る、というより聞いていたんですが。さて。
 映像を見ていないと、今しゃべっているのがうしくんなのかかえるくんなのかさっぱりわかりませんでした。すごい、うしくんもかえるくんもおんなじ声なんだ。


3.9(木曜日) もしも叶うならば。


 ただ静かに。
 静かに。
 誰にも邪魔されることなく。
 眠りたい。
 56時間くらい眠りたい。
 です。

 三行目のあとに「あなたの腕の中で」とかいれると、ちょっとろまんす漂う雰囲気になる(かも)しれません。56時間の眠りに付き合ってくれるあなた大募集。
 理想としてはそうですね、枕元に大量のマンガとか置いちゃったりして、寝るのに疲れたらぐだぐだマンガを読んで、なんだか眠くなったらまた寝る。
 はー、想像しただけで幸せな気がします。うん、そーなるとかえって「あなた」はジャマですかね?
 おっといけない、食事はどーするべきでしょーか。ココ重要。すごく重要。


3.7(火曜日) 歯医者さん


 えぴそーどわん
 歯医者さんで、仮に詰めてくれたものが黄色でした。
「見てみてー、黄色だよ。珍しーねー。白じゃないんだねー」
 と妹に同意を求めたら、妹は微妙な顔をして、
「……おねーちゃんさっきカレー食べたじゃん。カレーの色だよ」
 おお!
 ……そーですか。

 えぴそーどつー
 歯医者さんから帰ってきて、まだまだ治りきっていない唇の荒れを見せながら、
「ねーねー、これこれ、ここここ、くちびる、赤いトコ、もうそんなに酷そうに見えない?」
 と妹に聞いたら、
「まだすごい赤いよ。痛そうだよ」
「……だよね。痛そうに見えるよね」
「痛くないの?」
「痛いよ」
「ほいで?」
「歯医者さんで、治療するとき、そりゃ治療だからしょーがないとは思うんだけど、でも遠慮なくびみょーんって引っ張られて、すみません、痛いんでやさしくしてください、って言ったら、すごい、思いもよらないことを言われたみたいに、ひとこと『痛いんですか?』って聞かれたから、あんま、痛くなさそうに見えるのかな、と思って」
「おねーちゃんはさあ、自己主張が足りないよ。『うわっ! 痛! いたたたたた! ちょっと、すっごい痛いんですけど、引っ張んないでくれますう? うわ、痛かった、あー痛かった。ああああー、びっくりした』くらい言ってやりなよ。そしたらどんなに鈍い人でも気付いてくれるよ」
 ええ!
 ……言えません。


3.6(月曜日) お尋ね日記


 メールが、ですね。一件、サーバーに引っかかって(?)なにやらどーしても受信することが出来ません。
 ここ一週間ばかりの間で、お返事の出来るメールにはすべてお返事済みなのですが、もし、まだお返事ないよー、という方見えましたら、すみません、ご一報ください。
 とか言っても、そのメールの受信の仕方も消去の仕方もわからないので、だからどーすればいいんでしょうか、という具合なんですが……。(このままずっとそのままなんでしょーか。気が向いたらぽろっと歯が抜けるように受信できてたりするんでしょうか)
 って、ただの迷惑メールが引っかかってるだけだったりして。
 最近の迷惑メールはなかなか巧妙で(いつも巧妙ですが)うっかり、知人からのメールかな、とか思ってしまったりします。そしてうっかり開けてしまうと、またなかなか巧妙なことが書いてあったりするのです。やるなあ。
 と、そんなことはともかく。
 お心当たりある方は、お願いします、です。
 ……とゆー、この日記を読んでいることを祈ります、です。


3.5(日曜日) 生徒会長といえば!のとめどない話


 そうだ。せっかく携帯変えたんだからゲームしよ。
 とゆーことで、ダウンロードしてみたのが「耽美★生徒会」
 ええ、もう、なんていうか、ココロに正直ですみません。最初はっ。違うんです、最初は、美少女ゲームの予定だったんですっ。かわいいあのコをゲット、する予定だったんです。そんな予定を声高に叫ぶなという感じなんですがそうだったんです。もうなにを言っても救いがなさそうなので、このまま正直に続けていいですか。
 いえあの。うっかり見たサンプル画面の生徒会長が、カッコよかったので……。ボーイズラブ、な、ゲームを、やってみました。もちろん主人公(わたし)も男性です。少年です(こだわり?)
 生徒会のみなさんと親しくなっていく、とゆーゲームなんですが。はじめはちっとも攻略の仕方がわかりませんでした。
 さっそくネットで検索をかけると……すぐに出てきますね、攻略法……。
 さらさら髪のさわやか成績優秀品行方正メガネかけてますの生徒会長とか。
 元気いっぱい身長を気にする食べ物大好きベリーショートカットな会計さんとか。
 なんだか暗くってふらふらしていてしかしその実態は! な書記さんとか。
 女性に生まれたかった(?)っぽいかわいらしい女性らしい副会長さんとか。
 実はもなにも特に隠す気もなくゲイな生徒会顧問の保健医さんとか。
 ……と、攻略法もわかり、無事にそれぞれと仲良くなりました、です。シミュレーション? というんですか?
 わたし的には生徒会長がやっぱりいろいろツボでした。
 メガネですよ。そういえば当サイト内にはメガネキャラさんいましたっけ、どーでしたっけ。

 橘裕さんのマンガ「ガッチャガチャ」最新刊6巻で、(以下ネタばれっす)
 ヒロインがセンパイに振られ、やっと生徒会長に目を向け始める展開になってきました。
 うん、そーだよね。やっぱり、少女マンガのビジュアル的にはすごくっ、ものすっごくっ、相手は生徒会長であるべきだよね、とか思いました。
 こちらも王道、成績優秀、品行方正、剣道部主将、黒髪さらさらメガネさん。
 あとはあれです、某テニスマンガの手塚さん、とか。
 そんなイメージ、そんなイメージ。

 以上、生徒会長わたし的イメージ、でした。


3.4(土曜日) そーいえば昨日はおひなさまだったんじゃないですか。それで昨日はちらし寿司とかあったのか。


 すごく、ものすごく塩からい汁を飲んだら、あまりの辛さに涙が出てきまして、その涙が出てくる傍から乾いて塩になってまぶたががびがびになって目が開けられなくなりました。

 とゆー夢を見ました。
 なんだかずっと、喉の奥が塩っからいよーな気がしてなりません。塩分過多の食生活でもしているんでしょうか。


3.3(金曜日) ……慣れ?


 ほんの1、2年前までは、多分、なるべく極力わたしの耳に入れないようにしていたっぽいのに。
 最近なぜかおおっぴらです。会社で、おっさんたちのエロ話。下ネタどころじゃありません。えろえろでございます。
 すごい、もう、おっさんたちの初体験が誰とどーだったかとか、わたし、全部話せる勢いですよ(誇張されていなければ/笑)
 うん、今現在のカンケーとか。誰にどーゆー女性がいるとか。どんなアレとかソレとかが好きとか。
 50代60代の方には30前半の女性がとても魅力的、らしーです。若いにこしたことはないけど、いろいろ面倒だそーで。
「とゆーことで、どうだ、芳雪くん」
 どうだって、なにがどうだだ(笑)
 セクハラはともかく、ネタは頂いときます、とゆー感じです。


3.1(水曜日) 先月の日記はまれに見る重さだったので、今月は気をつけましょうと思いつつなんだか今日も長いのです。


 いつもありがとうございます。
 の、投票所のコメントとか小話とかお返しです。


高橋君に「なんて事だ! Wなっちゃんのクリスマス、読んでなかったよ〜 いつ書かはりました?」

 ええええと(調べ中)。あ、昨年の9月、らしーですよ。って、そーゆーことが聞きたかったわけではないですか??
 激しくクリスマス時期をハズしたアップだったので、よ、よろしければ、また今年のクリスマス頃にでも思い出して読んでみてください、です。
(そういえば、なんかの占いで、わたしの今年のラッキーイベントはクリスマス、とありました。……そんな先にしかラッキーなイベントはないんですか、そうですか)


この、季節 この、日に
「温泉旅行番外編、熱望デス〜〜〜!由佳サン・さとサンの追求を受ける植田くんも。」
「大好きなシリーズだったので続きが読めて嬉しかったですが、終了が悲しいです・・・」
「望月君のお話、気長に楽しみに待ってます!!」


「……で、こっちが植田くん、です。植田己陽くん」
 掘り炬燵式になっているテーブルで、
「どーも」
 と己陽が頭を下げると、そんなことはどうでもよさそうに千里がひとこと、つっこんだ。
「これが植田なんて、そんなの見りゃわかるし」
 それもそうだよね、と麻子は笑い、由佳だけがちょっと慌てて、
「サトちゃん、もーっちょと言葉を選ぼーよ、言葉を」
「え、なんで?」
「なんでじゃなくて」
 店内はすべて個室になっているけれど、旬の野菜を使ったお弁当がお手軽に食べられるので、女性連れや、こどもを連れた女性連れで店内はさわざわと賑わっている。
 一応、こそこそひそひそと肩を寄せる千里と由佳を、
「あ、こっちは、由佳ちゃんと千里ちゃん。植田くん、覚えてる?」
「覚えてる覚えてる。おまえら、あいかわらずだなあ」
「あんたにいわれたくないしっ」
「もー、サトちゃんっ」
 どうどう、と由佳は千里の肩を撫でる。が、あまり効果はなくて、千里はこぶしを握り締めた。
「どうせ、相変わらず、成長の見られない面子ですっ」
「ええ!? それサトちゃんだけだから。わたしとアサコちゃんは違うし」
「なにあたしだけおとしめよーとしてんの」
「なにわたしたちまでおとしめよーとしてんの」
「一緒におとしめられるのが友達でしょう!? ちょっと、麻子も黙って笑ってないで、なんか言ってやって、由佳に、言ってやって」
 麻子はおもしろそうに、まだお茶が熱くて飲めない湯飲みを両手で包むように持ちながら、
「あの、植田くんは別に、そういう意味で、相変わらずって言ったわけじゃない、と思うんだけど」
 ねえ? と同意を求めると。己陽はお茶が熱いのも気にせず飲み込みながら、
「そー。相変わらず、仲いーなーと思っただけ」
「ほらね」
 千里は、ち、と舌打ちして。
「深読みしすぎたか」
「俺の言葉深読みしてどーすんだ」
「深読みでもしなきゃ、麻子が、あんたの上っ面の言葉にだまされてこーゆーことになってるんだと思うと泣けるから」
「騙されてないよ?」
 麻子と由佳は、お弁当遅いねえ、とのんきな会話をする。千里だけがひとり熱く、
「騙されてる人間は、騙されてないと思ってる時点で騙されてるのっ」
「こらこら」
 まーまー落ち着いてお茶でも飲みなさい、と由佳は千里にお茶をすすめる。
千里が湯飲みを口元に持っていくと、己陽は、それまで手にしていた湯飲みを、ことん、とテーブルに置いた。
「そんな心配されなくても、幸せにするよ」
「ぜったい!?」
「絶対」
 にこやかに己陽が告げても、千里はなんだかふくれっつらを戻さない。
 己陽は由佳を見て、麻子を見て、千里を見た。
「なんでそんなに、俺は信用ならないかな。なんかしたっけ?」
「だって」
「だって?」
 千里はますますふくれっつらで、
「麻子、取られるからくやしーだけ。麻子、あたしたちのなのにー」
「いや、俺のだろ。すみからすみまで、キミらの知らない麻子まで、全部俺のじゃん?」
「……あたしたちの知らない?」
「そー、オトコとオンナの……」
 言いかけたところで、麻子が、なにげに見ていたメニュー表で己陽の顔面をはたいた。
 痛くはなかったけれど、すごく痛かった様子で、
「麻子サン、ひどいことしないで」
「己陽ちゃんはすごいこと言わないで」
「……はい」
 ふたりのやり取りに、由佳が、麻子ちゃん一勝、と呟く。
 運ばれてきたお弁当に、いただきます、と手を合わせて、割り箸を割ったところで、千里は諦めたように吐息した。
「幸せにするって言い切るんなら、もういいけど」
「しますとも」
「それはいいけど、じゃあ、どんなポロポーズだったか教えなさいよ」
「……命令ですか」
 己陽は茶碗蒸しのふたを取りかけてかたまる。ちらと視線だけで麻子を見ると、我関せずの態度で味噌汁を飲んでいる。
「あー、それは内緒の方向で」
「なんでよ」
「言うと麻子サンに絶交されるから」
「植田、そんなすごいプロポーズしたの?」
「ねえ、麻子ちゃんも聞いても教えてくれないしねえ」
「なんかそんなすごそーなこと、ふたりだけで抱えてたら、きっと結婚生活の破綻も早いと思うから、今ここでぺろっと白状したほうが楽じゃない?」
「いや、そうすると、ケッコン前に破滅の危機が……。ねえ、麻子サン」
「ねえ、己陽ちゃん」
 にっこり、笑う麻子に、己陽の笑顔がかたまる。かたまったまま、
「ランチおごるから、ゆるしてクダサイ」
 もともと己陽も割り勘にさせる気はなかったけれど。女性陣はゲンキンで。
「やった。おごり。ビール飲んでいい? ビール。昼間っから飲んでいい? お祝いだし。由佳と麻子は?」
「えー、わたしデザート追加で。アサコちゃんも食べる?」
 そうだねえ、とみんなして、ランチそのものもまだそんなに手をつけていないのに盛り上がる。
 己陽はあらためて茶碗蒸しに手をつける。こんな光景は、学生の頃にもよく見た。学生の頃の制服を着ていても、脱いでも、オンナノコたちは変わらないなあ、と、あからさまに笑うとまた千里辺りに、なに笑ってんのと突っ込まれるので、こっそり、笑った。

(三人称……ヘンな感じですね。
 望月クンお話も三人称なので、多分、こんな感じだと思います。
 温泉旅行編は、えええと、またそのうち、書けたらいいなあ……です)


秘蜜ごとに「後ろから殴りたくなるくらい、甘々でいてほしい!」

 ぶれた画像でぐらぐらしてるテレビ画面の中で、母親の声がする。
『かず。かーずーちゃん。花珠保、一志』
 母親が構えているビデオカメラに、小さな花珠保が急にアップで映って。
 近付くビデオカメラを、花珠保が触ろうとする。母親はそれをひょいと避ける。画像が大きく上下して、つかまり立ちをやっとのことでしている一志を映した。一緒に若い父親が映っている。
 おかーさん、おかーさん、と画面の隅から花珠保の声がする。今はもうないちゃぶ台につかまって立っている一志を目では心配しつつ、父親が花珠保を抱き上げた。
 ビデオカメラが花珠保と父親に向く。
 母親は相変わらず声だけで、
『花珠保、おとーさんにちゅー』
 ちゅーと言われて、条件反射で。小さな花珠保はきゃっきゃと笑って、父親が、ちゅーと寄せてくるくちびるにちゅーをする。
『花珠保、花珠保、おかーさんにもちゅー』
 父親から花珠保を抱き上げた母親は、ビデオカメラを父親に渡す。画面がまた大きく何度か揺れて、次には母親にちゅーをする花珠保が映る。
 花珠保が、カメラに向かって、両脇を持たれた姿でぶらーんとアップになる。ぶらぶらと揺らされて、よく笑う。
『はーい、花珠保、一志にもちゅー』
 まだ、ちゃぶ台につかまったままの一志の横にちょこんと下ろされて。
 花珠保は一志にも同じようにちゅーをする。それからぎゅうと抱っこを、する。
 そんな、昔の映像を見ていた母親は、
「うちの子、さいこーにかわいいと思うんだけど。親の欲目? ねえ、どう思う? 花珠保、どう思う?」
 花珠保はずっと、母親と一緒におもしろそうに映像を見ていた。
「お父さんもお母さんもわかーい。一志、ちっちゃいね」
「そー、ほら、見て。このあと、花珠保に抱っこされて暴れて、ふたりしてすっ転んで、どっちかっていうと下敷きになった花珠保のほうが痛そうだったのに、花珠保クッションにしてぜんぜん痛そうでもなんでもなかった一志が大泣きしてね、ビデオどころじゃなくってね」
 母親の言うとおりのシーンを映したビデオは、最後、泣く一志に慌ててぐらぐら揺れて、ぶちりと切れた。
 母親はしみじみと、
「こんな小さいときから、一志は一志で、花珠保は花珠保なのねえ」
 ねえ一志、と見向くと、部屋の隅で見たくなさそうに見ていた一志は、なんとなく、青い顔をしている。どうしたの? と花珠保が寄ると、
「…………手ブレに酔った」
 気持ち悪い、とぐったりしながら、
「もーちょっと、ちゃんと撮っとけ、よっ」
「それが、手振れ防止ボタンとかに気が付いたの、このあとでね」
「あほだ……」
 何気なく一志に触った花珠保の手が、冷たくて。
 一志は花珠保の手を掴んで自分の額に押し当てた。
「ねーちゃん、きもちいー」
 自分のもののように手を、離さないまま、
「つか、そんなモン撮っとかなくっていーし。撮っといても、わざわざ、思春期の息子に見せてくれなくていーっての」
「なに言ってんの。昔の記憶にもない自分の姿にもだえるあんたたちを見るのが楽しいんじゃない」
 ねえ、おとーさん、と母親は父親に同意を求める。父親はなんとなく、気分的には一志の味方なのだけれど、一応、母親には逆らわずに、そうだねえ、と言ったりする。
「一志、ビデオ見るの好きじゃないの?」
「ねーちゃんはへーきなのかよ」
「うん? おもしろいよ? 一志かわいい。おむつでおしりまるっとしてるのが」
 ほんとにかわいいよ? と言いながら、笑う。
 ねえ、かわいいわよねえ、と母親も笑う。
 さすがになんだか一志に同情的に、父親はどこか乾いた笑みを作って。
「……あー、そう。おれかわいい。やったー。家族のあいどるー」
 一志はどうでもよさそうに適当に言う。
 ビデオを止めた母親が、
「じゃあ、我が家のアイドルさまたちにお茶でもいれてあげようか? おかーさんたちコーヒーだけど、花珠保と一志はココアでいい? コーヒーがいい? 紅茶? 緑茶? 梅昆布茶?」
「ココア」
 ふたり仲良く同じ注文をして、父親はコーヒーの豆挽き係りに任命されて母親と一緒に台所に入る。
 一志は花珠保の手を掴んで自分の額に押し付けたまま。
 花珠保は一志に手を、掴まれたまま。
「わたしも、お母さんたちのお手伝い……」
「ねーちゃんは、おれにちゅーして」
「は?」
「はーい、花珠保、一志にもちゅー」
 一志は昔の母親の口真似をする。
「……なに、言ってんだか」
 振り払おうとしたした手を振りほどけずに、立ち上がろうとしたところを抱きかかえられて。花珠保は一志に捕まって。座り込んだままの不自然な格好で抱き締められた。
「……ちょっとだけで、いーから」
「でも」
「とーさん、豆挽くのとろいじゃん。時間かかるからへーきじゃん」
「……そう?」
「そーじゃん。てか、なんで」
 顔を、近付けると逃げて退く花珠保の顔を追いかけて、押し付けるようにキスをして。キスをして、捉えたくちびるを吸って、一度、ざらりと舌を舐めた。
「なんで、ちーさいときは、ちゅーちゅー、親公認でやってんのに、今はだめなんだよ。そーゆーの不思議じゃん?」
 触れたのに、離れて喋る一志のくちびるに。
 花珠保は一志の背中に回した手で、背中のシャツを掴んで、一志を引き寄せた。
 喋ってる時間が惜しい、みたいに。くちびるを重ねたら。
 舌の奥までねだるように、一志は花珠保に覆いかぶさった。抱き締めて、抱き、抱えて。漏れそうになる息は飲み込んだ。
 ちょっとだけ、といった言葉は、忘れた、みたいに。
 もっと、と求めて。
 もっと、ずっと、そうしてたかったのに。
 台所で、お盆にコップを四つ、置く音がした。
 ゆっくり離れて、ふたり、お互いの濡れた口元をぬぐった。
 ぬぐった手も、離れる。
「か、ずし……あとで、わたしの部屋、来る?」
「……うん」
 ふたりの、会話を、
「なに一志、またおねーちゃんに宿題教えてもらうの? 花珠保、一応受験生なんだから、あんまりジャマしちゃだめよ」
 ココアのコップを渡してくれる母親に、
「なんだよ、ジャマって。ジャマなんかしてませんー。むしろ復習の手伝いじゃん。感謝してほしーくらいだ。なあ、ねーちゃん」
「なあねーちゃん、じゃないでしょ。この屁理屈息子っ」
 母親は遠慮手加減なく一志の頬をつまんで引っ張る。一志が大げさに痛い痛いと喚くので、見かねた父親が穏やかに、まあまあ、と母親をなだめる。
 そんな光景を、花珠保はきょとんと見ていた。母親が、
「花珠保、あんたもなにか言ってやっていいのよ。この言いたい放題の弟にっ」
「え、あ、うん」
 花珠保はココアを、一口飲み込んで。
「そっか、一志の宿題見ると、復習になるんだ。そっか、そうだよねえ」
 今、気が付いたように、花珠保はなんだか感心している。
「ほらみろ、暴力ばばあ、ねーちゃん、おれに大感謝じゃんか」
「親に向かってばばあとはなに、ばばあとは! だいたい、あんたは自分に都合よく考えすぎなのっ」
 騒ぎが大きくなって、花珠保は父親と部屋の隅に避難する。
 ビデオの整理をしながら、父親はふと、花珠保を見て、なんとなく、さびしそうにため息した、から。
「お父さん、どうしたの?」
 父親はなんでもないよ、といいたげに、でもなんでもなくはないように、
「おとーさん、花珠保にちゅーしてもらったの、いつが最後だったかなあ、とか、思って」
 いつだっけ? と花珠保と仲良く考える。そこに一志が割って入って、
「そこっ、おやじ、セクハラっ」
 父親はのほほん、と。
「一志にちゅーしてもらったのも、いつだったかなあ」
「気色の悪いことゆーなっ。するわけないだろっ」
「あら、してたわよ」
 なんなら証拠見せようか? と母親が一本のビデオテープを手に取る。
「見る?」
「見るかっ!」
 一志は一目散に自分の部屋まで逃げ込んだ。しょうがないなあ、と花珠保は一志のコップを持って、一志の部屋をノックした。
「なんだよっ」
「ココア、いらないの?」
「いるっ。けど」
「けど?」
 ドアを開けた一志は、でも、コップを受け取らずに。
「……ねーちゃんの部屋で、飲む」
「……うん」
「いっとくけど、宿題、やるわけじゃない、から」
「……う、ん」
「ココアより、ねーちゃんが、いー」
 ココアに口をつけるより、先に。相手のくちびるに、口を、つけた。

(……長っ。適当に書き始めたら、オチが……。
 甘々を目指してみましたが、なんとなく、ココアの甘さでごまかしたような気もします。甘々に完敗。わたしの背中をとび蹴りされそうな気がしないこともない3月1日の夜でした)

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