** 桜話 **


 ハナは生徒会長の意外な一面を見た気がした。
「……これ、生徒会長が作った、お弁当……?」
 タカシは、それがどうした、という顔をする。
 フミオは、そうだよ、といいたげにこっくりと頷いた。
 ミナトは、
「遠慮しなくていい、ハナも食べろ」
 うららかな、校庭の隅での様子に、ハナはどう感想を言っていいのかわからずに、タカシを、見た。
 目が合ったタカシは、特に、ミナトの言い分に不服はないようだった。
「あの、じゃあ、いただきまぁす」
 重箱の花見弁当を、タカシと、ミナトと、フミオと、ハナで囲む。
 始業式後の校内には、まだ多くの生徒たちが残っている。生徒たちはみな遠巻きに生徒会長のふるまいを見ていた。ハナはそれがちょっと気になる。
「フミオ、卵焼きだ。食べるか? 食べるだろう? わたしが取ってやる。待ってろ」
 タカシや、ミナトや、フミオは周りを気にしない。
「どうしたハナ。弁当が不味ければタカシに文句を言えばいいよ。黙っていることはない」
「あほ。不味いわけあるか」
 なあ、と聞かれて、はい、おいしいです、と慌てて返事をした。
 風が吹いて、桜の、花びらが、降ってくる。ひらひらとした風景に、ふいに、ミナトが少女らしい笑顔を浮かべた。タカシと、フミオが、見たかったものを見た顔をした。
 ハナも、見たかったものを見れた、ような気がして、一緒に花見を楽しんだ。




































** 展開の予定(台本)**


ミナト「で? この後の展開の予定は?」
タカシ「まだ台本もらってねぇなあ」
フミオ「……(ねぇなあ、とタカシを真似して言いたそうな顔)」
タカシ「でもまだ世界観とか、ぶっちゃけなんもオツタエしてないだろ。もっとさっさと……」
ミナト「ぶっちゃけ、とか言うな」
タカシ「なんでだよ」
ミナト「フミオが真似するだろっ。かわいくないじゃないかっ」
タカシ「どー真似するっていうんだ」
ミナト「するっ。気を付けろっ」
タカシ「……すんのか?(フミオにお尋ねする)」
フミオ「…………(『んー、ぶっちゃけー』とか言ってる、のかもしれない)」
ミナト「言った! ほらみろ、言った!」
タカシ「……ほらみろって、見えねーし、聞こえねーし……」